ナンピン買いってどういうこと?その詳細と実際に行われた例を挙げて解説します。

ナンピン買い ヘッジファンド

2015年にヘッジファンド業界で行われた史上最大のナンピン買いをご存じでしょうか?なんと、3000億円以上の含み損を出した銘柄に対し200株相当の買い増しを行ったというのです。

普通に考えて、損益を出している銘柄を買うなんておかしな話ですよね。今回は、ナンピン買いについて詳しく解説していきたいと思います。

ナンピン買いってどういうこと?

ナンピン買い

株の世界でよく聞く、「ナンピン買い」とは果たしてどのようなものでしょうか?

そもそもナンピン買いとは、株価が下がり平均取得価格が低くなった銘柄を購入することで、仮にその後、株価が少しでも上がれば利益が出るというものです。

たとえ利益が出なくても、±0に抑えられる、もしくは少量の損失で処分できる可能性があると考えられています。

たとえば6000円の銘柄を100株買ったとします。残念なことにその銘柄の株価が5000円にまで下がってしまったとき、当然損失となってしまうのですが、1株当たりの平均購入単価は5500円と割安になり、利益が出る水準自体は下がります。そこで、再度株価が上昇することに賭けて株価が下がっているにも関わらず買い増しを行います。

これが「ナンピン買い」です。

今ではナンピン買いはタブーとされている

ナンピン買い

あくまでも株価の値下がりは一時的なものであって必ず上昇トレンドにあるということが明白であればナンピン買いの理屈は筋が通っています。

しかし、その後も株価が下がり続けたば場合はさらなる損失を抱えてしまうというリスクも多いトレード手法です。

業界では、「下手なナンピン、スカンピン」などといわれるほど、細やかな戦略のもとで行わなければいけないというように考えられています。

しかし、一昔前のバブル期まではナンピン買いは非常に有効な手段であると考えられていました。

「株価が下がってはいるもののナンピン買いをして、平均の購入価格を下げた方がお得」というセールスさえ行われていたようです。

なぜなら、今では信じられない話ですがバブル当時は株価は必ず上昇していくもののと考えられており、実際に多少の値下がりはあったものの基本的にはほとんどの株価が城主トレンドにありました。そのような経済状況であれば、含み損を抱えた銘柄とうものは平均の購入価格が低くなる分買い増ししたほうがお得だったのです。

株価の低迷は逆にチャンスという時期があったということです。

しかし、今は当時と相場状況が大きく異なります。むしろ、今ではナンピン買いが報われることはほとんどないといっても良いでしょう。

そもそも株価が下がっている銘柄をあえて買うわけですから、常識的に考えておかしいと思わなければなりません。

そのため、現在のセオリーではナンピン買いはタブーだと考えられています。なぜなら、必ず株価が再上昇することを予測することは難しいからです。

本来、株価が下がった局面でやるべきことは、買い増しではなく損切りしかありません。ナンピン買いというリスクを冒すくらいなら、株価が下がった銘柄は一度損切りをお子に、上昇トレンドに入ったのを確認したら、すぐにまた買い戻せばいいだけの話なのです。

近年行われたナンピン買いの例

以上のように、ナンピン買いははらんでいるリスクが大きすぎるため、基本的にはやってはいけないことだと考えられています。

しかし近年、ヘッジファンド業界で「史上最大のナンピン買い」が行われました。

2015年、アクティビスト戦略をとっている米国でも有名なヘッジファンド運用会社、パーシング・スクエア・キャピタルが、米製薬大手バリアント・ファーマシューティカルズの株価が大暴落した後に、約200万株の買い増しを行う。つまり、ナンピン買いを行ったことがことが大きな話題となりました。

パーシングはバリアント株を約2000万株近く保有していました。しかし、ある中小アクティビストが作成したレポート「シトロン・リサーチ」にて、「バリアントは製薬業界のエンロン」という内容が発表されたことによって株価が大暴落。パーシングはなんと3000億円以上の含み損を一時的に出したのです。

バリアントの株価は263.81ドルの最高値を付けるなど非常に好調な銘柄でした。しかし、レポート発表日に148.01ドルで始まった取引が、88.50ドルの最安値を付けるなど大ブレーキ。たった1回のレポート発表によりこれほどまでの損失が出たことはまれであり、パーシングにとっては痛恨となりました。

しかし、同社ヘッジファンド・マネージャーは「値下がりはあくまで一時的なものであり、バリアントを信じている」などとして、約200万株の買い増しを敢行したというのです。3000億円以上の含み損の際に、果敢なナンピン買いは過去に前例もなく、いまだ結果は出ていませんが、吉と出るか凶と出るか多くの投資家が注目しています。

ナンピン買いの理屈を応用する

ナンピン買い

しかし、「1株当たりの平均購入単価が低い銘柄の方が、その後に株価が上昇した際の利益は大きくなる」という根本的な理屈は正しいものです。

これを応用して、「含み益が増えているが株価が上昇トレンドにある銘柄を買い増しする」という戦略が考えられます。

過去に下降トレンドにあり含み損を抱えていたとしても、現在では上昇トレンドにあると考えられる銘柄は存在します。

ナンピン買い事態は推奨できるものではありませんが、そういった銘柄を選定して投資を行うのは、戦略的にもアリでしょう。

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